2012年12月01日

ピンクのポンポン★47

 母からの楽しい嫌がらせ 
 コンサートの日程を間違えて伝えていたことが、申し込み後に判明した。しかもメールで送信したので、証拠隠滅不可能状態……
 
 「行ってくれば良いじゃない」
 昨夜もぶっきらぼうに、母から言われた。私もつい、苛々とした気持ちで言葉を返していた。
 「分かった、じゃあ、私が行かせて貰うね」
 「はい、どうぞ、どうぞ、行ってらっしゃいまし」
 「あのさ、そんな言い方するんなら、アンタが行けば良いでしょ!」
 「良いわよ、私は留守番で!」

 週末に両親は、父の実家で営まれる法要に夫婦で行かねばならなかった。場所が遠いのと、朝から始まり、他の親戚の見送りもしなければならないため、前泊し、翌日に戻ってくるため、2泊3日のお出かけということになる。
 日程をちゃんと伝えたつもりだった。と言うよりも、私自身が金曜・土曜の二日間と勘違いしていた。おまけに、母宛てに、一日ずれている日程をメールで送ってしまった。当然の様に、母は残念がった。それで今回は一枚ずつしかチケットを申し込んでおかなかった上に、その失敗に気付いたのが、チケットが手元に届いてからだった。
 当然、誤魔化しようがないので、母に正直に話した。
 元々、母はファンではなかった。でも、父がうるさかった為、高校を卒業するまではコンサート会場まで送ってくれて、帰りも最寄駅まで迎えにきてくれていた。でも、そんな母も大河への出演を機に、翌年から私と共に出かけることを楽しみにするようになっていた。
 正直に話し、木曜のチケットを譲ると話すと、
 「一人で行っても、つまんないから、一人で言って来て」と、あっさり話が終わったと思っていたら、そうではなかった。翌朝から、ネチネチと嫌味が始まった。
 「良いわねぇ、二日もタッキーの顔が見られて……」
 最初はそんな溜息混じりの言葉だったのに、日々、内容がエスカレートし、昨夜は遂に口論になったのだった。今朝はもう、口もきかなかった。

 溜息をついて、会社で一日を過ごした感じだった。駅で改札を出た時、前回の待ち合わせ場所を覗いてみたけれど、やはり母の姿はなかった。コンサート会場まで一人で歩くのは、初めてかもしれない……と思いつつ、一人で歩いた。
 お土産くらいは買っておこうと、ペンライトとバッグ、携帯クリーナーは二人分づつ購入してから、入場した。
 トイレの列に並んでいる時、携帯のメール着信音が鳴ったので、鞄から取り出すと、母からだった。
 「行ってらっしゃい。笑顔で帰ってきてね、言い過ぎた」
 心がホッとした。すぐに返信した。
 「行ってきます! ケーキ、買って帰るね」
 またすぐに母から返信が届いた。
 「遅いから、駅前のお店、閉まっているんじゃない? 無理しなくて良いわよ、今夜の夕飯はコレだから♪」
 添付されていた画像を開くと、和牛ステーキの写真だった。二通目がすぐに届いた。
 「あなたの分は用意していないから、コンビニでお弁当でも買ってきてね♪」

 すっかり、こちらの性格を読まれていたようで、絶句した。二通目のメールの着信が早かったので、すっかり私がメールする内容まで予想し、予め下書き保存していたのだろうなぁと、また溜息の連続になってしまった。
 それでも、笑顔になって帰らなければと思い、席についてからメールした。
 「タッキーに元気を貰って、帰りま〜す(^^)v ペンライト、買っておいたからね、他のグッズも!」
 すぐにまた、メールが届いた。
 「当然じゃない? 次回はちゃんと連れて行ってね」
 完全に不機嫌だなと思った。それでも、帰れば、『お帰り』と言って迎えてくれて、コンビニ弁当を食べ始めたら、きっとお茶を用意してくれるだろう。母はそんな人だ。苛々した状態で、家族を送り出したり、迎えたりすることが苦手な性格なので、父へのお小言は週末に集中しやすい。
 ただ、一人で出かけたくないのは本音かもしれないと思いつつ、ピンクのポンポンを鞄から出して、開演を待った。

mokkon at 22:00│Comments(0) 妄想小説 

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